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学生さん達は未来に活かして欲しいと思います

ー志保さんは、三歳と六歳の二人のお子さんのママでありながら、南三陸研修センターではママガイドとして、学生たちにママだからこそ語れる震災の体験談を語ってくださっています。また、ママサークルの代表としても精力的に活動されています。まずは、志保さんの活動のベースともいえるママサークルの立ち上げのきっかけは何だったんですか?

ママサークル立ち上げのきっかけは、仮設住宅に住んでいる小さいお子さんを持つお母さんたちが、窮屈な生活をしているのを見聞きしたことですね。

壁が薄いので、子供が仮設の中で走り回ったりすると、ご近所の方に迷惑じゃないかと気を使って生活していたり。夜泣きも騒がしくなってしまうので、雨が降ったすごく寒い日でも車の中であやして、落ち着くまで車の中で過ごすような生活を送っているお母さんもいたんです。

逆に家が残っていても、今まで近所で仲良くしていた親子が被災して仮設住宅に入って、そこで新たなコミュニティができてしまって、遊びに行きにくくなって孤立してしまったお母さんも結構いて。そういう人たちが集まる場を提供したくてサークルを立ち上げ、ボランティア団体さんの拠点を借りて、憩いの場にしたんです。

―ママガイドとして、学生たちの前で話していて、どのように感じていますか?

震災が三年が経ったこの町、メディアでも取り上げられることが少なくなったというのにそれでも訪れてくれる学生や多くの方々がいる事に涙が出るほど嬉しかったです。

風化させないように活動していますが、こんなにも想ってくれ、行動してくれる方々にとても励まされました。そしてメディアでは取り上げられない生の声を聞いて頂けて本当に良かったです。

―ママだからこそ伝えられることって何だと思いますか?

私やお母さんたちは、震災で一番影響や被害があったのが子どもたちだと思っています。子どもなのに子どもらしく過ごせなかったっていうのをすごく感じていて。子ども達が小さいながらに必死で我慢しながらも頑張った様子、ママ達が幼い我が子を必死で守ろうとしたあの過酷で辛い日々をリアルに伝え、そこからの変化などを伝え、学生さん達は未来に活かして欲しいと思います。そして未来へ受け継ぎ、いつかくると言われている震災の防災、減災に繋げて行って欲しいです。

高橋志保

南三陸町入谷出身、歌津在住。

5歳と3歳の2児の母として育児に励む傍ら、南三陸研修センターのママガイドとして、学生に震災の経験を伝える。

震災後、「ママサークルもこもこ」の代表として、ママ同士の交流の場と社会復帰のきっかけ作りに取り組んでいる。

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