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南三陸町入谷地区。住民から「ばば山」と呼ばれ親しまれている山があります。その山に花桃や桜の花木を植え、地域の憩いの場、観光スポットとして整備していこう、という「花見山プロジェクト」がいよいよ始動します。2015年8月4日、入谷地区住民の方々や、このプロジェクトの20年前の前身「桃源郷構想」に尽力した方々が集まり、「ばば山の思い出と未来を語る会」を開催しました。

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これまでの経緯―多くの人の手によって推進された「グランマの森プロジェクト」

まず、ラーニングセンターの安藤より、ラーニングセンターが行ってきたグランマの森プロジェクトや、今年度すでにボランティアの方々と一緒に行ったばば山の整備について報告を行いました。

グランマの森プロジェクトとしては、2013年から2014年の間に、大学生やライオンズクラブの子どもたちと一緒に、ばば山の地ごしらえ作業や道づくり、レンギョウの植樹等を行ってきました。また、山の中腹にツリーハウス「その場しの木」も設置。作業時の休憩小屋や、ビュースポットとしても好評を得ています。

また、今年度になってからは、企業ボランティアや高校生の方々の力を借り、作業を続けてきました。たくさん動いて汗を流し、ふと振り向けば美しい田園風景が広がる…そんな活動に達成感を覚え、「また来ます」と言ってくれるボランティアさんも少なくありません。

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20年前の「桃源郷構想」の想いを受け継いで・・・。

続いて、阿部忠義氏より、このプロジェクトの概要について説明がありました。20年前に、入谷地区の地域づくり団体「入谷グリーンウエーブ構想促進委員会」によって、桃源郷構想が立ち上がりました。これは、福島県にある花見山をお手本に、地区内で花木を育て、景観づくりによる地域の活性化と、苗木の販売による新たななりわい作りを狙ったものです。今回の「花見山プロジェクト」は、震災後の応援の風を受けて、先の構想を受け継ぎはじまりました。そしてこの度、南三陸町の「平成27年おらほのまちづくり支援事業」に採択され、本格的に始動する運びとなったのです。

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ばば山の思い出、そして未来図

ばば山の歴史

ここからは、参加者の皆様に思い思いにばば山への思いを語っていただきました。まずはばば山の歴史について、様々な年代から声が上がりました。

「昔はばば山の頂上から、中学校の校舎を背景にして卒業写真を撮った」

「ばば山で栗拾いやきのこ採りをした」

「頂上付近は昔伐採して、蚕のための桑を植えていたが、蚕が廃れて草地になった」

現在のばば山

また、中心となって作業を始動してくださっている阿部勝善さんからは、現状の山の様子も教えていただきました。

「現状、70本の山桜を植えており、大半は根付いている」

「春先にはうぐいすの卵を発見した」

「モミジやたらっぽ(タラノメ)、山百合、珍しい白いあじさいも咲いている」

「今後は花桃を中心に、歩道沿いにはヤマガン(ヤマボウシ)を植えたい」

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出典:http://photozou.jp/photo/show/262775/169755104

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出典:http://photozou.jp/photo/show/2575792/205505345

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こんな花見山にしたい

そんな話を聞くと、

「山頂にはレンギョウもいい」

「日陰にはサンシュユを植えたい」

「歩道には手すりがあったほうがいい」

と、さすが草花に詳しい地域の方々、次々と夢が膨らみます。

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出典:http://photozou.jp/photo/photo_only/299323/171868698

こんなプロジェクトにしたい

このプロジェクト自体に関する意見も数多く上がりました。

「広く様々な作業にボランティアさんに関わってもらうのがいい。植樹だけでなく、その後の手入れ等も」

「結婚記念日に植樹できる企画や、木のオーナー制度を作るとおもしろいのでは」

「やはりお金が続かないと疲弊してしまう。福島の花見山ではシーズンになると商店が屋台を出していたように、商売の機会になれば」

「同時に、地元の人が楽しめる仕組みも必要」

「地元出身で地域外に出ている人が、帰ってこれる場にしたい」

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花見山をきっかけに、地域の未来図を描こう

「花見山プロジェクトをきっかけとして、地域全体の構想を話し合っていければ」

ある方の発言のように、このプロジェクトが単なる名所作りでなく、地域の未来を話し合うきっかけとなり、共に汗を流しながら絆を深め合う機会となればいいと強く思いました。

 

「明治神宮の森は、計算された人工の森。あのように、100年後の構想まで描ければ、外から来た人は絶対感動するだろう」

 

という言葉には、参加者全員が大きく頷いていました。

 

地域の方々にとっては思い入れのある場所なだけに話は尽きません。

今回の懇談会は、プロジェクトの概要と住民の方々の思いを共有する良い機会となりました。

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