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「バカの壁」の著者が語る「幸せになるための生き方、暮らし方」

6月15日、大正大学客員教授で、南三陸ラーニングセンターの名誉センター長でもある養老孟司先生をお迎えし、特別講演会を開催しました。世代や職業も様々な、およそ60名の方が入谷公民館に集まりました。

「幸せになるための生き方、暮らし方」という講演タイトルですが、そもそも「幸せ」がなにか、とは未だにわからない、というところからお話が始まりました。

佐々木公民館長

たくさんの来場者の前で挨拶をする佐々木入谷公民館長

昭和20年台に生まれ、小学校2年生のときに終戦を経験したという先生。当時は食糧難の時代で、芋やかぼちゃしか食べるものがなかった。その時は幸せなんて考えもしなかったといいます。そして、戦後の復興期・高度経済成長期、働き盛りの時代は無我夢中で幸せとはなにかなんて考える暇もない。

そして男性の平均寿命も目前に控えた今。子どもの頃には、自分はこの年になるまで生きてはいられないだろうと思っていたが、なんと生きている。しかし長生きできているからといってそれが本当に幸せなのだろうか。これは自分だけではなく、現代人みんなが直面しているのではないかと言います。

ここから話は「考えるということ」、「自分とはなにか」、「お金」について…と、どんどん広がります。世代もバックグラウンドも違うはずなのに、なぜだか皆が、自分も経験したことのあるようにイメージできる。目の前のもやが晴れていくような、不思議な感覚に満たされていきます。

最後は「あとは自分で考えてください」と突き放し、余韻たっぷりに講演を締められました。

養老先生講演

講演する養老先生

第2部 養老先生を囲むお食事会

講演のあとは会場をいりやどに移し、養老先生を囲むお食事会を開催しました。一人ひとり自己紹介と、今日の講演の感想を言うコーナーでは、それぞれの視点の違いが興味深かったです。

「先生が、お金は貯めるのは簡単だが使うのは難しいとおっしゃった。私はこの年で事業再建するため何千万と借金をしているが、これでいいのだと勇気が出ました」

「年に何度も読むくらい大好きな『方丈記』の話が今日の講演に出てきたので嬉しかった」

「不思議なことに、課題をかかえているときに養老先生の本や言葉に出会うことが多くて、今日も自分の都合の良いように解釈して背中を押された気持ちになりました」

南三陸ラーニングセンターとしても、地域の皆様が学び集う場を提供することができ、非常に嬉しい一日となりました。

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